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米朝再会談の突破口に朝鮮戦争で犠牲の米兵「遺骨問題」浮上 11月のトランプ・金正恩接触にらみ

米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が、再び首脳会談を行うのか。米朝間の動きに関心が集まっている。

韓国の情報機関、国家情報院(NIS)は1日、国会情報委員会に対し、米朝首脳会談について「具体的な接触事実は確認されていない」としながらも、「いつでも開催できるとみなすべきで、対話の兆候がある」と報告し、会談実現の可能性が高まっている。

11月に中国・深圳で開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の前後が、米朝接触のタイミングとして注目されている。

トランプ・金正恩会談は11月に中国で開催か…核放棄なき「核凍結」に現実味

そんな中、米朝首脳間の対話を進める上で、「遺骨問題」が一つの突破口になる可能性が浮上している。朝鮮戦争で死亡・行方不明となった米軍兵士の遺骨問題だ。

外交関係者によると、遺骨問題をめぐる水面下の調整が、米朝間で進んでいるという。

実際、米国防総省の戦争捕虜・行方不明者調査局(DPAA)のトップは現地時間8月31日、ホワイトハウスから、トランプ大統領が金正恩氏と合意した場合に、遺骨問題についてDPAAが何をできるか問い合わせを受けたことを明らかにした。

核問題とは異なる「遺骨」というカード

米朝はこれまで、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって激しく対立してきた。

核問題は、北朝鮮が核兵器を放棄するのか、それとも核保有国としての立場を維持するのかという、国家安全保障そのものに関わる問題だ。米国は北朝鮮の非核化を求めてきた一方、北朝鮮は核保有国としての立場を崩していない。

この問題では双方の隔たりが大きく、難航する可能性が高い。これに対し、遺骨問題は人道に関わるものであり、核問題とは性質が異なる。

北朝鮮にとっても、核兵器やミサイルをめぐる大幅な譲歩を伴わずに米国との接点をつくることができる。

米国側にとっても、朝鮮戦争で死亡・行方不明となった兵士の帰還は、遺族や国内世論に直結する問題だ。

その意味で、遺骨問題は米朝双方にとって、核問題より取り組みやすい外交テーマとなる可能性がある。

米朝対話を動かした「遺骨送還」

遺骨問題は、過去にも米朝対話のきっかけとなった。

2018年6月、シンガポールで開かれたトランプ氏と金正恩氏による初の米朝首脳会談では、朝鮮戦争で死亡・行方不明となった米軍兵士の遺骨を回収・送還することで合意した。

その翌月の7月27日、北朝鮮は米兵のものとみられる遺骨55箱を米側に引き渡した。

核問題をめぐる交渉が行き詰まる中、まず人道問題で接点をつくり、首脳間の対話を進める――。今回も、こうしたシナリオが浮上しているのだ。

DPAAによると、朝鮮戦争で行方不明となった米軍関係者は7400人以上に上り、このうち約5300人が北朝鮮にいると推定されている。

現在、北朝鮮での米軍遺骨の捜索活動は行われていない。しかし、米側には、北朝鮮との合意が成立すれば再び活動を始める準備があるとしている。

11月APECが会談実現の節目になる見通しであり、それまでに調整が進むかどうかが焦点になる。

日本の「無条件対話」に北朝鮮は冷淡

ここで気になるのが日本の動きだ。

高市早苗首相は、北朝鮮による日本人拉致問題について、金正恩氏との首脳会談を含め、条件を付けずに直接向き合う姿勢を示している。

米朝首脳会談が実現すれば、日本政府としてもトランプ氏との意思疎通を強め、拉致問題を米朝外交の議題として取り上げてもらいたいところだ。

しかし、北朝鮮側の対日姿勢は厳しい。

北朝鮮側の関係者は、高市首相が示す「条件を付けずに対話する」という姿勢だけでは不十分であり、「日本が独自にかけている対北朝鮮制裁の解除など、具体的な措置が必要だ」と語っている。

北朝鮮メディアも高市政権への批判を強めている。8月には高市政権を「新軍国主義」と位置付け、日本の防衛政策などを非難した。

米朝が「遺骨」を突破口に接近すれば、日本政府が優先する拉致問題が米朝交渉の陰に埋もれる可能性もある。

日本に残された時間は長くない。高市首相はこれまで「私の代で何としても突破口を開き、拉致問題を解決する」との決意を示してきた。米朝関係が動き始めるとすれば、日本外交にとっても正念場を迎えることになる。

文/五味洋治 内外タイムス

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