タイのトクリュウ拠点は13億円豪邸、日本人逮捕も中国マフィアが管理か…タイ警察も取り締まり強化
9月16日夜、タイ入管警察がバンコク都内の住宅街にあった特殊詐欺コールセンターを摘発した。警察発表では日本人4人、中国人4人、タイ人1人など計14人を拘束。パソコンや詐欺電話の手順書、さらに日本の警察の偽制服なども押収している。
住宅街にあるため外国人の出入りが不自然に多いという近隣住民から通報があり、動きを捜査し特殊詐欺グループの拠点と判断。捜索令状を取得したうえで9月16日に家宅捜索した。
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拠点は評価額約2億7000万バーツ(およそ13億円)、約2515平米の豪邸で、月額賃料は約90万バーツ(約430万円)。1年前から借りられており、日本の高齢者を狙った特殊詐欺拠点として使用されていたとタイ入管警察は説明している。
これだけ大きな建物を利用していたのは、ビデオ通話で使用するための日本の警察署を模したスタジオのほか、高額アルバイトがあるとだまされ、かけ子としてここにいた逮捕者もおり、彼らが逃げ出さないよう敷地内で快適に過ごせるようにジムやカラオケなどエンターテインメント設備を備えていたためでもある。
それだけの設備を用意できる大きな家屋は都心では難しく、チャオプラヤ河西岸の住宅街を選んだと見られ、そのため外国人の出入りが目立ったことで通報された。
カンボジアの拠点を空爆
今回の事件は日本に向けた詐欺拠点摘発で、日本人逮捕者が多いものの、管理していたのは中国人と見られる。タイと近隣諸国は近年、中国反社会勢力による特殊詐欺拠点構築に悩まされている。
2019年以前はタイ東部のビーチリゾート・パタヤ近辺を中心に、日本の反社会勢力によるトクリュウ拠点から日本人の逮捕者が多数出ていた。新型コロナウイルス収束以降、日本人トクリュウ拠点は減り、中国マフィアと見られる組織による国際的な特殊詐欺事件の拠点が摘発されるようになった。
その後タイ警察の取り締まりが厳しくなったことで、2024年前後から中国組織はミャンマー領土内に拠点を移し始めていた。
日本人のかけ子を監禁するなどしながら活動していたが、2025年1月に中国人俳優を撮影があるとバンコクにおびき寄せて誘拐し、ミャンマーの拠点で監禁。これを受け、中国政府がタイに圧力をかけ、タイ警察と陸軍が電力や通信の遮断を行い、ミャンマー当局と連携して俳優を救出した。
これにより中国犯罪組織はカンボジアに拠点を移すことになる。カンボジアで中国マフィアは巨大な拠点を複数、建設。拠点は冒頭の豪邸どころではなく、村がひとつできたような大規模なものだ。
2025年2月にタイとカンボジアの警察が共同対策に乗り出した中、同年5月ごろにタイ東北部とカンボジア北部の国境紛争が勃発。両軍が砲撃などを実施する中、タイ軍は同年末までに複数回、報復という名目でカンボジア領土内を空爆した。
当時からタイ国内では「特殊詐欺拠点を空爆しているのではないか」とささやかれていた。国境紛争のはずが、カンボジア領土の中まで空爆していたためだ。
そして2026年3月上旬にその答えが出る。共同対策で設立されたタイ・カンボジア情勢共同情報センターが世界のマスコミを招待し、タイ国境に近い空爆箇所を公開。空爆されていたのはやはり特殊詐欺拠点で、そこには世界の警察や銀行のスタジオなども用意された団地のような拠点だった。
事件関係者が使用した店を利用しただけで口座凍結も
東南アジアでの中国マフィアの巨額利益は金製品になるか、各国で不正取得した銀行口座にプールされていると見られる。そのため、タイの為替相場や金価格にも悪影響をおよぼす。
また、近年のタイはスマートフォンの銀行アプリで送金などができるため、タイの銀行は少しでも怪しい動きを察知するとすぐさまその口座を凍結する。
仮にトクリュウの関係者と一切無関係であっても、事件関係者が使用した店やタクシーをたまたま利用したというだけで凍結されるケースもあり、善良なタイ在住日本人も凍結の被害に遭っている。
カンボジア拠点のトクリュウにおいては今年6月に日本人幹部がタイの空港で逮捕されてもいる。
こういった国際犯罪の拠点になってしまっているタイでは取り締まりを強化しており、現在は無関係の長期滞在者のビザなどにも悪影響を与えている。タイにいる日本人はトクリュウと完全に無関係ではいられない状況になってきた。
文/髙田胤臣 内外タイムス






