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【寄稿】「県民の安全と安全保障を二者択一にしない――米兵事件に厳正な対処を――」 本松敬史(JFSS政策提言委員、陸修偕行社常務理事、元陸自西部方面総監) 

「県民の安全と安全保障を二者択一にしない――米兵事件に厳正な対処を――」

那覇市のホテルで女性が死亡し、米海兵隊員が強盗殺人容疑で逮捕された事件は重大です。亡くなられた女性のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族にお悔やみ申し上げます。

現時点で容疑者は否認しており、事実認定は捜査と裁判を待つ必要がありますが、犯罪が認定されれば、その責任は厳正に問われなければなりません。

沖縄では1995年の少女暴行事件、2016年の女性殺害事件など、米軍関係者による重大事件が繰り返されてきました。
米軍には、綱紀粛正を掛け声に終わらせず、隊員教育や管理を徹底する責任があります。

同時に、基地と地域社会が隣り合う沖縄では、県民の安全をどう守るかという現実的な視点も欠かせません。深夜の繁華街を含め、言語や文化、生活習慣の異なる米軍人と接する機会が多いからこそ、行政、警察、米軍、事業者、住民が連携し、県民の危険を減らす取り組みを重ねる必要があります。もとより、被害者には何ら非はありません。
そのことと、同様の事件を繰り返さないために、地域全体で県民を犯罪から守る方策を考えることは、分けて捉えるべきです。

また、事件が繰り返されてきた経緯を考えれば、日米地位協定の見直しも避けて通れません。
運用改善だけで十分なのかを検証し、捜査や身柄引き渡しをはじめ、県民の権利と安全を確実に守る仕組みを日米間で不断に見直す必要があります。

その上で、個々の事件と安全保障政策は分けて論じるべきです。

事件には厳正に対処し、地位協定は見直す。
一方、安全保障については、厳しさを増す東アジア情勢と沖縄の基地負担の双方を踏まえて冷静に議論する。
県民の安全と我が国の抑止力を二者択一にしない姿勢こそ重要でしょう。

JFSS政策提言委員、陸修偕行社常務理事、元陸自西部方面総監 本松敬史

もとまつ・たかし 昭和37年7月、熊本県出身。昭和60年3月に防衛大学校(29期、国際関係論専攻)を卒業後、陸上自衛隊に入隊。自衛隊沖縄地方協力本部長(那覇)、第8師団長(北熊本)、西部方面総監(健軍)等の「指揮官職」の他、北部方面総監部幕僚副長、陸上幕僚監部教育訓練部長、統合幕僚副長等の「幕僚職」を歴任。平成9年には、国連平和維持活動(PKO)として第3次ゴラン高原派遣輸送隊長(シリア・イスラエル)を務め、平成11年に米陸軍指揮幕僚大学(米国・カンザス州)へ留学。平成31年から西部方面総監を務めた後、令和2年8月に陸上自衛隊を退官。令和2年12月から日油株式会社顧問。

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