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中国伝統の月餅が売れなくなった4つの理由 売上は前年からほぼ半減の冷え込み

今週末は中国での中秋節だ。この連休を控え、中国国内の月餅市場はかつてない冷え込みに見舞われ、販売数量が急激に落ち込む事態に直面している。

最新のデータによると、今年の実店舗における月餅の売上高は前年同期比45%減とほぼ半減した。国内の月餅市場が全体的な下落傾向を示すのは、これで2年連続となる。

数十年にわたり受け継がれ、中秋節の定番の季節食品であった月餅が、なぜ突然売れなくなってしまったのか。今回は月餅販売の急落の背景にある4つの理由について解説する。

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糖質や脂質を抑えたい健康志向

1つ目の理由は、消費者の健康意識が高まり、伝統的な月餅の「高糖質・高脂質」という特徴が現代の食生活の趨勢(すうせい)に完全に逆行している点である。現在、多くの消費者が食品を購入する際に原材料表示を確認し、糖分や脂質の含有量をチェックしている。

伝統的な小豆あん、ナッツ入りの月餅は総じて糖分と油分が多く、糖質や脂質を抑えたいという現代の健康志向のニーズに全く合致していない。

企業の業績悪化で高価格帯のギフトセット低迷

2つ目の理由は、かつて月餅市場の屋台骨を支えていた高価格帯のギフトセットが、手頃な家庭用小分け包装の月餅に完全に取って代わられたことである。

これまで月餅市場の売上上位は、企業が福利厚生や手土産として大量購入する高額ギフトセットであり、一般家庭が自宅用に購入する割合は低かった。

しかし近年は多くの企業の業績が振るわないため、高価格帯のギフトセットにかける購入予算を大幅に削減した。

また、一般消費者にとっても1個当たりの原価が70-220円の月餅が包装費や化粧箱、配送料によって1000-2200円となるのは不合理であり、最初から購入対象とはならない。

現在500元以上の高級ギフトセットが市場全体に占める割合はわずか数パーセントにまで落ち込み、単価数十元で買える個別包装の月餅が主流となった。

かつて過剰包装でプレミアムを上乗せしていた高額商品は市場から見放され、家庭用を重視した手頃な小分け包装が現在の消費トレンドとなったため、市場全体の売上高が大きく落ち込むのは当然の結果といえる。

「月餅券」のダフ行為も問題に

3つ目の理由は、中秋節の贈答品が月餅一辺倒だった過去とは異なり、より実用的なギフトへの代替品がすでに多く出てきていることである。数年前までなら、親戚・知人へのあいさつ回りやビジネス上の付き合いにおいて、手土産の第一候補といえばほぼ例外なく高級月餅ギフトであり、他に選択肢がほとんどなかった。

そのため、月餅を購入可能な「月餅券」を使ったダフ行為も問題になった。下の図で示したサイクルでは月餅は一切消費されることなく、月餅メーカーは15元の利益を得ることが可能だ。

一見すると盛んに見えた月餅の消費には、こうした空洞化の実態もある。つまり、高級月餅ギフトを持参したところで、受け取る側の多くは「実用性がなく、置く場所を取り、食べきれない」と感じてしまうのだ。

むしろ上海ガニの引換券や高級フルーツ盛り合わせ、地方の特産農産物といった実用性の高いギフトの方が月餅よりもはるかに喜ばれており、かつて高級月餅が担っていた贈答の需要はほぼ完全に姿を消してしまった。

小豆あん、ナッツなど伝統的な味が敬遠

4つ目の理由は、伝統的な月餅が敬遠されていることである。現在の月餅市場は極端な二極化が進んでいる。小豆あん、ナッツといった定番・伝統的な月餅は、大量生産してもまったく売れず、メーカーは大量の不良在庫を抱えることになった。

一方で、若者の好みに合わせた味は供給が追いつかない状態が続いており、実店舗では店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまうことも珍しくない。

近年の市場全体で「売れない」とされているのは主に大量生産された伝統的な月餅であり、若者の嗜好(しこう)を捉えた月餅の売れ行きは依然として好調である。

つまるところ、近年の月餅市場における急落の本質は、月餅を取り囲む社会全体の消費ロジックが根本から変化したことにある。

過剰包装とビジネス贈答によって支えられていた高額ギフト神話は完全に崩壊。月餅は過度なプレミアムが乗った社交ツールから、ようやくごく普通の季節商品へと立ち返ったのだ。

文/下川英馬 内外タイムス

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