ネット掲示板で元カノへの性的暴行役を募集、レイプした実行犯と指示役の刑罰は【裁判傍聴記・前編】
「女友だちをレイプしてもトラブルになりません」
「3万円払うからレイプしませんか」
M被告(当時27歳)は、ネット掲示板で性的暴行役を募集した。ターゲットは元交際相手の女性Aさん(当時22歳)。
Y被告(当時25歳)が書き込みを見つけ、「この内容なら自分でもできる」と応募。M被告はAさんの住所や、犯行内容などを伝えた。
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2025年6月2日0時過ぎ、実行役のY被告は「水道の緊急点検で来ました」とAさん宅のインターフォンを押した。ドアから入るとAさんに抱きついて「叫ばないで、叫んだら殺す」と結束バンドで縛った。
2時間以上にわたり性交や口腔性交などのわいせつ行為をして、現金1万円を奪う。部屋を出る際には「通報したら殺すから。自分が捕まっても、別の人間が殺しに来るから」と脅し、立ち去ったという。
指示役のM被告からは、報酬としてPAYPAYで738円と5000円を受け取った。Y被告は強盗・不同意性交と住居侵入、性的姿態撮影罪に、M被告は不同意性交、住居侵入の罪に問われた。
「君が思ってる通り、元カレに頼まれた」
2026年7月10日、実行役・Y被告の裁判が行われた。被害者Aさんは別室からビデオリンク方式で答えた。
「『殺す』と脅されて、従うしかありませんでした。犯人はとても強圧的で、楽しんで性的なことをしているように見えました。スマホで撮影されて、裸の画像が拡散されるのではないかと不安で。金銭の要求に1万円渡しました。
正直この事件に関わることがしんどいです。ずっと不安で、不安で、仕方ないです。それまでできていたことができなくなった。家がバレているので引っ越し。浴室での犯行だったので、大好きなお風呂に入れなくなり、シャワーも怖い。夜、一人で出歩けなくなり、電車にも乗れません。男性が怖く、仕事に支障が出ています」
Aさんは、「犯人はビデオ通話で誰かと話しているようでした」と。
Y被告は音声通話をつないだままインターフォンを鳴らし、部屋に入ってからも指示役と通話状態のまま。わいせつ行為の間もスマホで撮影していたという。
「誰かに指示されたのかと聞いた時、『君が思ってる通りだよ。元カレに頼まれた』と。
『俺は本当はこんなことしたくないんだよ。お金のためにやっている、頼まれたからしょうがない。言っちゃいけないんだけど』とも。
指示されたというより、一緒になってやってる感じでした」
「養ってほしい」と書き込み、最大月20万円以上の金銭援助
Aさんと指示役のM被告は、2021年マッチングアプリで知り合った。
――交際していたということですか?
「(小さな声で)はい。当時の私は金銭的に困っていて『養ってほしい』と書き込みをしました。(M被告から)何回も付き合ってほしいと言われ、受け入れました。金銭の援助をしてもらい、優しくて楽しい時期もありました。お金を払うから身体を触らせてほしいと言われ、拒否するとケンカになることもありました」
M被告によると、一時期は月20万円以上渡していた。性的行為をすると対価として3~5万円。援助した金額は総額800万円以上だと。
2人は2024年11月に別れた。別れた理由のひとつは、アブノーマルな性行為を求められたこと。なかなか別れてもらえなかったが、翌年3月に着信拒否。その後、M被告はAさんの母親に連絡したり、職場の社長にも電話した。今回の事件後も着信拒否されながら、Aさんに何度も連絡。M被告は「謝りたかった」と。
指示役のM被告が証人に立った。
――共犯者ですね。
「はい」
――被告人の本名や住所は?
「知りません」
――被告人に電話番号や部屋番号を教えたのですね?
「はい」
――Aさんとの関係は?
「(小さな声で)交際相手だったかも」
――20数万円渡したのは交際してくれると思っていたからですか?
「最初から付き合えるとは思っていなかった。2年間交際する代わりに生活費月25万円払うと約束。紙に書いて写メを撮って契約書に。キャッシュカードを渡していた時期もありました」
――実行役にはどのような指示を?
「ビデオ通話でAさんの様子を見えるようにしてほしい。やらないでほしいことも伝えた。Aさんにケガをさせない、物を盗まない。僕の言うことを守ってほしいと。1万円奪ったことは、自分が逮捕されてから知った」
実行犯が指示していない行為を始めると、『今やっていることをやめてほしい。従ってくれたら倍払う』と」
「軽度知的障害とADHDが犯行に影響したとは言えない」
裁判で実行役のY被告は「膣内性交はしていません。それ以外は間違いありません」と主張した。被告人質問の予定があったが、直前になって黙秘権を行使した。
Y被告に対する検察官の求刑は拘禁刑13年。
「被告人は説明の機会を与えられたのに何も答えなかった。会ったことがなく名前も知らない指示役からの依頼を受けた。止められていたにもかかわらず、1万円を奪った。
自己中心的で身勝手な犯行。事件の4日後に盗撮事件も。軽度知的障害とADHDが犯行に影響したとは言えない」
弁護士は寛大な判決を主張した。
「被告人は作業着を着ておらず、普段着。深夜0時過ぎの訪問で、2人とも容易に部屋に入れるとは想定していなかった。Aさんに非があるとは言っていない。ドアを開けたから、不幸にも成功してしまった。きわめてずさんな事件。闇バイト、インターネットを介した犯罪だからといって、重く処罰する理由はない。
被告人には劣等感を埋めるための虚言癖がある。情緒の未熟さ、人にだまされやすい、後先を考えずに行動することがある。見知らぬ人から『レイプしてくれたら金を払う』と言われて実行してしまった。障害がない人とまったく同じ処罰をすることはできない。これまで福祉的支援を受けたことは一度もない。効果のある薬物治療を行う予定もある。拘禁刑8年が相当」
黙秘権を行使したY被告は、最後に自分の意見を述べた。
「このたびは私のあまりにも身勝手な行動で、被害者を肉体的にも精神的にも傷つけてしまいました。私はいかなる処罰でも受け入れる所存でございます。大変申し訳ありませんでした。これまで何も考えずに生活をしていました。社会復帰してからは福祉の支援を受けながら、一日一日を大切に生きたいと思います」
2026年7月23日、実行犯のY被告に下された判決は拘禁刑12年。裁判官は検察側の主張を全面的に認めた。
「被害者の絶望感は計り知れない。弁護側は偶然が重なったと。被告人には軽い知的障害があり、間接的な影響があっても、直接的な影響はない。M被告に従属した犯行ではない。自ら結束バンドを購入した。トクリュウ犯罪としてことさら重い処罰を課す犯罪ではない。しかし刑事責任は重い。事件の4日後、新橋のコンビニトイレにスマホを設置し、氏名不詳者の臀部(でんぶ)を撮影した」
文/青山泰 内外タイムス






