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【竹中平蔵の「悪名は無名に勝る」】災害対策を抜本強化せよ 細野大臣に期待する

台風、豪雨など、自然災害が続いている。とりわけ千葉県では、8月13日から14日にかけて豪雨に見舞われ、甚大な被害を出した(令和8年8月千葉豪雨)。死者13人、行方不明者1人、負傷者46人、床上・床下浸水およそ4000棟、被害総額は約30億円に達した。

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またテレビ映像でショッキングだったのは、冠水の影響で動けなくなった車が多発したことだ。その数は千葉市だけでも2千台以上と報じられた。このような被害は、従来予想されなかったことだろう。さらに9月には台風25号が日本を襲い、千葉県と神奈川県であわせて死者14人となり、いまだ2人が行方不明のままと報じられている(28日20時現在)。

このように、異常気象と思える天候異変の中で、日本の防災対策をどのように強化すべきなのか。日本は地震を含め災害が多発する国ではあるが、それに対する対応は比較的しっかり行われてきたのではなかったのか。

確かに日本では、災害対策とりわけ台風を意識した対応策が積極的に取られてきたという経緯がある。直接的なきっかけは、1959年の「伊勢湾台風」だった。この台風は、和歌山県潮岬に上陸した後、東海地方を中心に大きな被害をもたらした。とりわけ、伊勢湾沿岸の被害は甚大で、死者5000人超という明治以降災害史上最悪の惨事となった。

当時筆者は、和歌山市に住む小学生だったが、この台風の凄(すさ)まじさは子ども心によく覚えている。それまでの死者は、大きな台風がある時でも1000〜2000人。この伊勢湾台風が契機となって、その2年後1961年に災害対策基本法が制定されたのだ。

この法律ができたことによってさまざまな防災策が進められ、結果的にその後の自然災害死者数は一気に年間数百人という水準に低下した。もちろん、それでも自然災害で年間数百人の死者が出るということは痛ましいことであり、近年まで継続的な改正が行われてきた。

ともあれ、この法律の制定によって自然災害の死者数が大幅に減少したことの意味は大きい。その死者数がその後一気に増加したのは1995年、阪神淡路大震災によって6000人を上回る犠牲が出た時だった。そして2011年には東日本大震災では、死者1万9000人超を出すに至った。

本年度中に防災庁設置の予定。庁縦割りの抵抗も予想される

大地震・津波、そして異常気象による従来とは異なる大きなスケールの台風や豪雨…。こうした自然災害に対する新しい備え・枠組みが必要なことは今や明らかだ。さもなければ、これから先も毎年のように、このような災害に怯(おび)えなければならない。

こうした中、先の内閣改造で細野豪志氏が入閣した。一般には復興担当大臣と紹介されるが、より詳細には福島原発事故再生、防災庁設置準備、国土強じん化担当、などを職務としている。細野氏は民主党を離れて自民党に入党し、二階派に所属していた。

周知のように国土強じん化は、まさにその二階俊博氏が唱えて政策をリードしてきたものだ。それを細野氏が引き継ぐ点に、筆者は大いに期待している。実は細野氏は民主党政権でも原子力防災などの大臣を経験しており、十分な実績を残している。

そして選挙区は静岡5区。もしも南海トラフ地震が起きた場合、静岡県は最も大きな被害を受ける県の一つであり、地元への貢献としても大臣の活躍が期待される。

社会心理学や行動経済学の分野でしばしば使われる概念として、「正常性バイアス」というものがある。これは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり軽視したりするという認知の特性があることを意味する。

台風や豪雨が過ぎ去ると、ついつい災害対策を考えること自体が疎(おろそ)かになる。しかし災いが起こる前にこそ、しっかりとした準備と対策が必要だ。伊勢湾台風を教訓に災害対策基本法を作った当時の発想は、誠に賢明だった。

異常気象の中で、今こそ防災対策の根本的な底上げが必要だ。例えば通常月間200ミリ程度の雨を経験してきた地域でも、最近は1日で300ミリの雨が降ることがある。国土強じん化に向けた抜本的な基準の見直し、そして災害時の指令系統の拡充が求められる。

防災庁については、2026年度中に設置が予定されている。一方で、防災、災害対策に関わる省庁は多数に上り、官庁縦割りの抵抗も予想される。細野大臣の改革手腕に期待したい。

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