記事一覧

サシバつないだ泡盛、宮の華が市貝町の米原料

 






2020/06/13 09時04分配信 - 産業・経済 -

 絶滅危惧種のサシバの保護につなげようと繁殖地で宮古島市とも交流のある栃木県市貝町の米を原料に、中継地の伊良部島の酒造メーカー宮の華(下地さおり社長)が泡盛「寒露の渡り」を製造。渡りのシーズンでもある秋の出荷に向けて企画した日本自然保護協会は12日からネットでの予約販売を開始した。売上の一部は伊良部島で森林を保護する「サシバの森づくり」をはじめ、繁殖地や越冬地を保全する活動に役立てていく。
続き
 今回の泡盛づくりは昨年、市貝町で行われた国際サシバサミットの一環として実施。同協会生物多様性保全室の出島誠一さんによると、サシバは水田と林が隣接する多様な生物が生息する環境を好んで子育てをするが、近年同町では耕作放棄地が増えていることから、水田を継続させるため米の付加価値を高めようと酒造りを企画した。
 通常、泡盛は国産米ではなく炊いても粘りの少ないタイ米を原料に用いるが、宮の華は13年前から県内でも数少ない国産米の泡盛「うでぃさん」を製造してきた。同社に原料米の「あさひの夢」が届いたのは昨年12月。工場長の山原作栄さんは蒸米して「驚いた」という。うでぃさんの原料米「ひのひかり」に比べて粘りが少なく黒麹がつきやすかったという。
 課題は製造から販売までの時間。宮の華では蒸留から約1年間は熟成させるが、期間が短いと刺激の強い口当たりになってしまう。10月の販売に間に合わせようと山原さんは「どこかで補わないといけない。短くても通常に匹敵する味にするため工夫を凝らした」と振り返った。
 今年1月に蒸留したところ果実香や砂糖を焦がしたような香りの印象が強く、山原さんは「若い酒なのに甘い風味が強い」と手応えを感じ、「これも『うでぃさん』で国産米に取り組んできた蓄積があったから商品化に持っていけた。基本があればあとは応用だけ」と話していた。
 蒸留後のアルコール度は43%だが徐々に割水を足して熟成させながら35%まで下げていく。「まだ完成ではない。ボトリングして工場の門から出すまでが仕事」と気を引き締め、「サシバを通して栃木の米農家が一生懸命作った思い、宮の華の酒造りへの愛情が一つになって酒ができた。渡り鳥がつないでくれた」と感慨深そうに話した。
 同社の下地社長も「私たちも自然の一部。自然と一体化できるような酒造りへの思いが形になり、自然保護を訴えられることに喜びを感じている」と目を細めていた。
 サシバの中継地で最も飛来数の多い伊良部島に国産米で泡盛を醸造できる宮の華があったことは「偶然だった」と出島さん。「華やかな香りが印象的で飲みやすい。継続性がなければ水田は保全できず、味の良いものが必要。おいしい泡盛ができて嬉しい」と喜び、「毎年、サシバの渡りの頃にはこの酒が風物詩になれば」と期待を寄せた。
 「寒露の渡り」は720㍉㍑で価格は2200円(税込)、限定1350本。寒露(10月8日)頃に到着するよう発送する。宮古島市での予約は宮の華平良営業所(73・2163)。

関連記事

powered by weblio


 

ファイル 23029-1.jpg
「寒露の渡り」のサンプルボトル

ファイル 23029-2.jpg
「寒露の渡り」を熟成させているタンクと工場長の山原さん=伊良部仲地、宮の華

ソーシャルブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録 はてなに追加 del.icio.usに追加 livedoorClipに追加 niftyクリップに追加 Googleに追加 Technoratiに追加 Buzzurlに追加