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まごとオバアの豆腐/受け渡された味と技で

 






2018/08/27 09時04分配信 - 連載・企画 -

 5年前、 仲本ハルさんは豆腐づくりを引退した。 下地直弥さんは作業小屋を新築して 「まごとうふ」 の製造所を建てた。 最初は地窯を薪で炊こうとしたが、 ある程度の数量を作るには薪がまったく足りなかった。 すでに薪を使う時代ではなく入手が困難だった。
続き
 両親が豆腐料理店を始めた頃でもあり、 苦渋の決断でガスを導入した。 「ガスに変えたら味が変わる」 と言われ、 沖縄本島の地窯をガスで炊いておいしいと評判の店を訪れ、 ガスの使い方を勉強した。 窯への火の当て方など要領は薪に通じるところもあり、 「最初から火力を強くせず、 じわじわと火力を上げる」 ハルさんのやり方でおいしい豆腐を作れると信じた。
 ▼品評会に刺激
 九州・沖縄地区豆腐品評会への参加は 「すごい刺激を受けた」 という。 他県のこだわりの豆腐にじかに触れることが目的だった。 「口に入れた瞬間、 甘い花のような香りのする豆腐」 もあり、 改めて 「濃厚で甘く香り高い豆腐」 づくりへの意欲をかき立てられた。
 9月30日に開催される全国豆腐品評会でも賞を獲るより 「勉強のため他の豆腐を少しでも多く食べたい」 と意気込み、 「全国から帰ってきたら、 もう一つおいしくなると思う」 と話した。
 ▼私も喜んでいる
 ハルさんは今も毎日のように公設市場に足を運ぶ。 24歳から自分で豆腐を作り始めて売った。 「市場の豆腐はおいしい」 と地域の人から愛されてきた。 時は流れて市場通りも下里通りも拡幅整備され、 公設市場も建て替えられ、 街はすっかりその姿を変えた。 それでも日々まごの作る豆腐を売る。 昔馴染みの近所の人、 見知らぬ若い人も買いに訪れる。 「豆腐づくりは難しいしきつい。 量を増やすのは大変」 と顔をしかめるが、 「買っていった人が 『おいしかった』 と喜んでくれるのが嬉しい。 私も喜んでいる」 と目を細める。
 ▼もっとおいしく
 「地窯は続けたい」 と下地さん。 煮窯ならはるかに短時間で炊けるが、 地窯の豆腐には独特の重厚感とおいしさがあるという。 現在、 1日に島豆腐150~160丁、 ゆし豆腐100丁を作っているが 「まだ増やしたい」 より多くの人、 島外から来る人にも宮古の豆腐を食べてもらいたいと願う。 「まだまだ勉強。 もっとおいしくできる。 まだこの豆腐は甘くなる。 香りを出せる。 自分の仕事を突き詰めていきたい」。 オバアから受け渡された味と技を守り、 まごは創意と向上心で前へ進む。 (おわり)(川浦克彦記者)

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今も公設市場で豆腐を売る仲本ハルさん(前列)と下地直弥さん、妻の昌恵さん=同市場

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地窯で炊いた重厚な島豆腐=まごとうふ

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