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危険・有害な漂着ゴミ、先島中心に20年間調査

 






2018/01/26 09時04分配信 - 科学・環境 -

 漂着ゴミ研究家の山口晴幸防衛大学名誉教授が、 20年間にわたって宮古島など先島諸島の海岸を中心に実施してきた撤去処分が困難な危険・有害・粗大漂着廃棄物の調査結果をまとめた。 医療廃棄物や廃ポリタンク、 管球類廃棄物、 ドラム缶、 廃タイヤなどが継続的に大量に漂着し、 有害物質の残存も確認されていることから自然環境や生態系、 景観への悪影響を懸念。 海洋越境廃棄物の対策強化を訴えている。
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 調査は1998年~2017年に伊平屋島から与那国島まで県内18島、 延べ837海岸で実施。 危険・有害な漂着廃棄物の内訳は電球・水銀ランプ類が2万5507個と突出しており、 次いで蛍光灯管類の8205個、 医薬ビン類3674個、 韓国製ポリタンンク類1020個、 車両タイヤ類790個、 注射器類525個、 ドラム缶類318個、 ガスボンベ類194個、 粗大電化品類159個となった。
 医療廃棄物の中には針の付いた注射器、 血液のような赤褐色の不明液体が残存する医薬ビンなどが確認された。 山口教授は、 注射器類はプラスチック製でビンに比べて構造的に弱く、 漂流・漂着中に破損・破片化するものが大半を占めると指摘し、 「砂浜や干潟などが主要な食物連鎖の場となっている海生生物には感染リスクが危惧される」 と懸念。 流出源の特定につながる表記等がなく国籍判別はほぼ不能。 現状では迅速に発見して回収除去する以外に有効な対策は難しいとしている。
 廃ポリタンクの大半は韓国製が占め、 2~3割に液体の残存が確認された。 分析の結果、 強酸性や強アルカリ性の液体が多く、 中には鉛やヒ素、 クロム、 亜鉛、 マンガンなどの重金属類等の有害元素が高濃度で溶存しているものもあるという。 山口教授は 「発生源が明確な排出国に対して実状を知らせ、 防止対策を強化するよう警告することが急務」 と述べている。
 漂着が最も多い管球類廃棄物は水銀の排出を懸念。 水銀は蓄積・残留性が非常に高く食物連鎖による汚染リスクの拡散・移動の恐れもあるという。 大半は表記文字が消失して国籍判別や流出経路の推定が難しく、 現状では迅速な回収除去以外に環境リスクへの有効な軽減防止策は見当たらないとしている。
 ドラム缶やガスボンベ=写真下=、 電化製品、 車両タイヤなど粗大ゴミの大半は故意の海洋投棄と見られ、 長期間放置されれば腐食劣化で危険な残存有害物質の排出が懸念されるという。 撤去や運搬、 処理には特別な措置が求められ、 人員や経費もかかることから海岸清掃しても回収されず何年も滞留しているケースも多く、 自然景観を損ねるだけでなく海浜植生帯を荒廃させると指摘する。
 また漂着廃棄物類を集積し、 大量に焼却した 「浜焼き」 の痕跡も確認している。 法的に禁止されており、 漂着廃棄物の80%以上を占めるプラスチック類には有害化学物質が混入されたものもある。 焼却残灰の混ざった海浜砂からは鉛やクロムなどが検出されており、 浜焼き禁止の周知徹底も呼びかけている。
 山口教授は 「八重山・宮古諸島では海洋越境廃棄物の大量漂着が長年繰り返され、 砂浜や干潟、 湿地水域の水質・土壌をはじめ海浜域の動植物生態系に甚大なリスクとなっている。 海洋越境廃棄物に対する積極的な国家的関与と軽減・防止対策に関する一層の強化が問われる」 と警鐘を鳴らしている。

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大量のゴミが漂着する平良狩俣の海岸 (提供写真)

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=写真下=

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