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記者リポート=宮古上布と琉球藍(下)

 






2017/03/18 21時04分配信 - 連載・企画::記者リポート -

 琉球藍の入手困難を受けて宮古上布保持団体は昨年11月、 本部町伊豆味を視察。 参加者たちは率直に 「琉球藍の危機」 を感じたという。 今月5日の報告会では、 会員から 「琉球藍が無くなった場合、 インド藍ではだめなのか」 「伝承には先を考えた仕組みづくりも必要」 「琉球藍を使いつつインド藍を比較研究してみては」 などの意見があり、 インド藍の可能性を探ろうとしている。
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 同保持団体が継承する重要無形文化財の指定要件で染色は 「純正植物染め」 とあり、 琉球藍に限定はしていない。 琉球王朝時代の御絵図 (みえず・王府が発注した貢納布の図柄) には藍色以外の色もあった。 特定の染料にとらわれ過ぎて広がりを欠くことも懸念されていた。
 ▼インド藍の可能性
 「栽培はそう難しくない。 暑さや干ばつに強く、 台風で葉が落ちてもまた生える」。 34年前からインド藍を栽培して染料を作ってきた同保持団体会員の砂川美恵子さんは、 インド藍は宮古に向いているという。 昔、 宮古でも琉球藍の栽培を試みた人もいたが、 土壌等が合わないのか育たなかったそうだ。
 インド藍は年4回収穫できる。 葉と枝を水に約2日間浸漬し、 消石灰を入れて沈殿させ泥藍を作る。 泥藍に木灰汁の上澄み、 泡盛、 黒糖を加えて藍建てする。 昨年1月末の記録的低温で葉に色素が入らなかったときを除けば、 藍建てで失敗はないという。
 30数年前には中国雲南省の少数民族を一人で訪ね、 染色を見せてもらったほど 「藍が好き」 だという砂川さん。 確かに琉球藍の赤みに対してインド藍は黒が強いとされる。 「海外にもたくさんの藍がある。 ただ色味は異なる。 藍色が好きなので材料にはこだわらない」 と話していた。
 ▼琉球藍の未来
 近年の琉球藍減少は気象災害が要因だが、 一方で生産農家の高齢化や換金性の低さも指摘される。 以前は盛んに栽培されていたが、 現在はタンカンなどの傍らに作っており、 年々生産規模は縮小傾向にあり、 「微妙なバランスで存続している」 という。
 衰退が進む伊豆味で琉球藍の増産に乗り出そうとしている池原幹人さん。 伊良部佐良浜出身の33歳。 東京で服飾関係の仕事をしていたが、 8年前に名護市で藍染めを学び、 現在は琉球藍の栽培から泥藍づくり、 染色まで一貫して行う工房 「藍ぬ葉ぁ農場」 を開く。 「藍を自分で育て染料にして、 布を染めることに魅力を感じる」 という。
 染料不足に伴い県内での需要は増えており、 琉球藍の栽培に力を入れるため畑の準備に取り組む。 来年頃には自分で使う以外にも販売できるよう目指している。 「琉球藍は沖縄の主染料。 どうにかして続くように少しでも役立ちたい。 藍が好きで携わっているが、 しっかりと技術を継承したい」 と意欲的だ。
 藍の色に魅せられた人々によって藍染めは続く。 だが藍も苧麻も生業とするには厳しい現実もある。 伝統工芸を支える原材料の作り手が報われる生産環境のあり方を、 藍不足は問いかけているのかもしれない。 (川浦克彦記者)

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藍染めの原材料となるインド藍=平良東仲宗根添、 砂川美恵子さんの畑

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